「ショートショートの神様」星新一さんへの誤ったレッテル貼りとパトグラフィー(病跡学)の違いを、日本病跡学会理事の斎藤環さんに聞いた/佐藤光展のメンタルヘルスあれこれ
精神科医・斎藤環さんインタビュー第2弾。「ショートショートの神様」として知られるSF作家の星新一さんについて、ある精神科医が回避性パーソナリティだと本で指摘していることを昨年、星さんの娘の星マリナさんが知り、父親の性格や行動とあまりにも異なるため、星新一さんについて書いている部分の削除を求めました。
しかし現時点で、出版社や精神科医はこの声をしっかり受け止めようとしていません。診てもいない著名人に、精神科医が精神医学的な論評を勝手に行うことは、日本精神神経学会が倫理綱領で禁止しています。
一方、偉人の創造力の背景に、精神医学的にみると「病理性」が存在するケースがあることが以前から指摘されており、関連を研究するパトグラフィー(病跡学)が注目されています。誤ったレッテル貼りとパトグラフィーは何が違うのか。日本病跡学会理事を務め、サルトグラフィーという新たな病跡学を展開しようとしている斎藤環さんに聞きました。
撮影・佐藤光展