激動の人生を花と石で表現/秘めて来た経験も明らかに /OUTBACK第2回ワークショップ
OUTBACKアクターズスクールは5月22日、第2回ワークショップを反町地域ケアプラザ(横浜市神奈川区)で開催しました。新たなスクール生を加えた22人が参加し、悲喜こもごもの人生を花と石を用いて振り返るワークなどに取り組みました。
この日はまず、気分チェックからスタート。その日の体調、気分、思っていることなどをひとり一言ずつ話していきました。このところ気温の変化が激しいためか、体調の優れない人もいたので、無理のない範囲で楽しむことを確認しました。
そして、ウォーミングアップのゲーム「人間知恵の輪」に取り組みました。玩具の知恵の輪を使うのではなく、自分たちの身体を知恵の輪に見立てて行います。8人前後のグループで輪になり、隣の人以外の誰かの手を握ります。そして、つないだ手を離さずに、絡み合った腕をほどいていきます。解きほぐすには互いに知恵を出し合い、ああでもない、こうでもないと話し合う必要があります。このゲームによって、新たなメンバーを含むスクール生たちの「輪」が深まっていきました。
緊張もほぐれたところで、「Give me a shape & space」というワークを次に行いました。身体を使ってモノや場所を表現します。はじめは1つのモノを1人で表現するのですが、次第に人数を増やし、グループで表現していきます。7人グループで作った「カマキリ」や「バイク」などは、とても躍動感があり、そのまま舞台にのせたくなるような迫力がありました。
ここで10分ほど休憩。5月15日の松本出張公演で、お客さんがくれた大きな缶入りのクッキーをみんなで頬張りました。
後半は、今回のメインワーク「石と花」に取り組みました。生まれてから今に至るまでに経験した印象深い出来事を、こちらで用意した様々な形の石と花を使って表現し、時系列的に一直線に並べていきます。そして、並べた石や花にはどんな意味があるのか、みんなに説明していきます。
松本遠征時に北アルプスで拾った大きな白い石は、病院を連想するためなのか、複数の人が「つらい入院生活」の表現として用いました。不適切な精神医療などがきっかけで30年以上もひきこもり生活をつづけた男性は、目を凝らさないと見えないほど小さな複数の石を等間隔に並べた後、現在の部分には花のつぼみを置いて、こう語りました。「何もない人生でしたが、無駄だったとは思いません。これからの人生に生かしていきたい」。OUTBACKアクターズスクールの演劇に取り組むことで、彼の花のつぼみはどんどん大きくなっているようです。大変な人生を送ってきた他のスクール生たちも、今の部分には花を置いているのが印象的でした。
最後は5人グループに分かれて、石と花のワークで語ったエピソードを各グループ1つずつ選び、からだを使って1枚の静止画として表現していきました。完成した静止画は、図らずも全て暴力に関するものでした。これまで人に言えず、胸に秘めて来た出来事までも、演劇というフィルターを被せることで明らかにでき、客観的な表現につながったのです。演劇の利点がはっきり見えた時間でした。
次回は6月4日(土)。とある精神科病院に入院中の人たちと共に、面白いことをやる計画を立てています。
(写真撮影・佐藤光展、中村マミコ)