精神疾患の当事者は「言葉」が足りなかった/「私たちの精神疾患」発売開始/執筆者のサルーテから推薦文届く

先日発売された本「私たちの精神疾患」について、執筆者のひとり、サルーテ(OUTBACKアクターズスクール1期生、KP文化・芸術担当)から推薦文が届きました。

この一冊 『生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患』

                            サルーテ(ToD AMi)

「その人が、その人として、その人らしく生きる」

至極当然のことであり、人権が守られている状態である。しかし、生きている以上は誰もが感じるのが「生きづらさ」。この感覚をより強く抱える精神疾患の体験者たちが集まり、本を完成させた。それが、「生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患」(1980円、NPO法人コンボ)である。

これまでも、医療者や支援者がメインで、そこに精神疾患の当事者が加わって「解説」のように書かれた本は世に出ていた。病状や生活や就業等をサポートするノウハウや、何かあった際の対処法をまとめた本が多い。中には、いわゆる「トンデモ本」と言いたくなるような内容のものまである。

「一体、何を信じればいいんだ?」。精神疾患の当事者にとって、永遠の課題と言っても過言ではない気がする。

そのような中で、この一冊が画期的なのは、「世界初」の当事者のみの発信によるところである。監修者の精神科医2名とプロデュサー1名は、いずれも「読後」の思いを書いているだけなので、発信者には含まれない。つまり、純粋に当事者のみが生きづらさとその対処法について語っているのである。

この本では「私たち」が主語である。十数名からなる執筆者だけでなく、同じような生きづらさを抱える多くの人たちも、この「私たち」に含まれる。同じ経験の持ち主を意味する「ピア」は、本文中でほとんど使っていない。あくまでも「私たち」なのだ。

「私たち」を取り巻く環境、症状、診断、治療などが語られていく。そして「私たち」のストーリーは「いい感じ」になっていく。その展開は、「リカバリー」とは何なのかを考えさせてくれる。所々に「ちょっと考えてみよう」と題した小さなワークがあり、内容の復習もできる。

4部14章からなる構成。第4部のタイトルを見ると「?」と思われるかもしれないが、「私たち」が目指すのはそこである。この本は精神医療とケンカするものではなく、より良い精神医療を構築するために、私たちのあるべき姿や目指すところを提案している。

実のところ、「私たち」はこれまで「言葉」が足りなかった。その結果、周囲の人たちからも十分な理解を得られず、不当な扱いとも言える医療行為を受ける側になってしまった。だからこそ、この一冊を「教科書」として、「生きやすさ」を獲得していくのである。

いつか、世界を変えた「あなた」と語り合いましょう。

本の購入などの詳細は下記にお願いします。

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精神疾患の当事者は「言葉」が足りなかった/「私たちの精神疾患」発売開始/執筆者のサルーテから推薦文届く” に対して1件のコメントがあります。

  1. OUTBACK看板役者 より:

    「日本一のイケメン」な一冊!

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