超長期入院被害者の苦しみから目を逸らす東京地裁/精神医療国賠訴訟で不当判決/佐藤光展のメンタルヘルスあれこれ

2024年10月1日、精神医療国家賠償請求訴訟の判決は、被害者の人生を著しく軽視した不当な内容となりました。東京地裁(高木勝己裁判長)は、国が推し進めた隔離収容政策のせいで約40年も病院に閉じ込められた原告・伊藤時男さんの苦悩の人生と向き合わず、国への忖度なのか必要な判断を避け、逃げたのです。

東京地裁は、◎伊藤さんにはたびたび精神症状がみられた、◎家族が退院に消極的だった、◎伊藤さんが退院を強く求めなかった、等の容易に論破できる屁理屈を積み重ね、「国の施策で長期入院を強いられたとはいえない」として訴えを退けました(判決文は精神医療国家賠償請求訴訟研究会のWebサイトに掲載予定)。

約40年分のカルテの一部に記されている伊藤さんの症状は、いつ出られるか全くわからない入院のストレスや、薬の雑な変更による影響と思えてなりません。しかも短期間で改善しているので、仮にそれが病的な精神症状だとしても超長期入院を肯定することにはなりません。入院を続けるほどの状態ではないのに家族が退院に消極的だと退院できないと認めることは、著しい人権侵害の肯定に他なりません。伊藤さんはもちろん、医師や看護師に退院を繰り返し求めていました。しかし、求めれば求めるほど退院させてもらえなくなり、地域生活への意欲が減衰する施設症に追い込まれていったのです。

伊藤さんは控訴する考えですが、孤軍奮闘裁判の影響力には限界があります。患者の人生を著しく軽視した不当判決を覆すためには、全国のあちこちで第2、第3の精神医療国賠訴訟を起こし、世論を広く巻き込む必要があると思います。被害者のみなさん、伊藤さんのように立ち上がってください。

判決を前にした伊藤時男さんのインタビュー動画はこちら。

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撮影・佐藤光展

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